「Solution Owner」として多様なプロフェッショナルの言葉を翻訳・統合し、 プロジェクトが生み出す価値の最大化にコミットする──
新田のこれまでの歩みと、プロジェクトを前進させるアプローチについて聞きました
―これまでのご経歴について教えてください
大学在学中に友人の会社のWebサイト制作を手伝ったことをきっかけに、ITやエンジニアリングの世界に興味を持ち、銀行のグループ会社でエンジニアとしてキャリアをスタートしました。
コーディング・アーキテクチャの設計から始め、ビジネス要求をシステム要件へ落とし込む役割、そしてプロダクト開発の全体統括として大規模なプロジェクトのマネジメントを担うようになっていきました。
テクノロジーを活用して、ビジネスの提供価値により大きなインパクトを与えられる仕事がしたいという思いから、徐々に仕事の幅を広げてきました。
―前職の金融機関で携わったプロジェクトと、そこで形成されたご自身の仕事のスタイルについて教えてください
アジアのリージョナルヘッドクォーターで、共通プラットフォームの構築や、複数国にまたがる業務の共通化・効率化を支援していました。
国や文化、業務慣行が異なる中で、どこまでを共通化し、どこを尊重するのか。 各国の現場では、もちろん変化に対する抵抗感が生まれます。「なぜ変えるのか」「その先にどんな未来があるのか」を共有する。説得するのではなく、遠くのゴールを一緒に見る。そのうえで、バックキャストで変化を整理していく。
そうすることで、粘り強く理解や納得を醸成することを大切にしています。
また、常に新しい技術を追い求める姿勢も大事だと思っています。
銀行業界で行われていた複雑かつ膨大な業務が、ブロックチェーンなどの技術によって、プロセスそのものが変わり、より速く、より透明性をもって行える可能性が示されたことは、非常に刺激を受けました。
新しい技術を組み合わせることで、既存の延長線上にない大きな変化をもたらすことができないか、常に問うようにしています。
―Slalomへの入社を決めた理由を教えてください
アメリカでプロジェクトを推進していた際に知り合った方がSlalomに入社され、話を聞く中で魅力に思う点が見つかっていきました。
まず、一緒に働きたいと思えるプロフェッショナルが集まってきている点、次に、組織がフラットでコラボレーションが非常にスムーズな点です。これは、法人が立ち上がったばかりの日本固有のものではありません。Slalomは2025年12月時点で、全世界22カ国・45拠点・12,000人を超えるプロフェッショナルが在籍するグローバル企業ですが、役職に関わらず、どのプロフェッショナルとも直接コミュニケーションを取り、情報をシェアし合えるカルチャーがあります。
そして、一番の決め手となったのは、Slalomがプロジェクト推進において配置している、「Solution Owner」という役割が、
まさに、自分がこれまでやってきたこと、これからやりたいことのど真ん中であったということです。
―日本ではまだあまり一般的ではない役割かと思いますが、Solution Ownerとはどのような役割でしょうか?
一言で言うと、プロジェクトに関わる社内外のさまざまなメンバーの話を翻訳し、統合し、最終的な価値の最大化にコミットする役割です。
業務、テクノロジー、デザイン、プロジェクトマネジメントなど、さまざまな知見・バックボーンを持つ人の集合によってプロジェクトは運営されますが、見ているものや立場の違いによって意思疎通がうまく図れず、意思決定が遅れたり、最善の結論に至れなかったりすることがあります。それは非常にもったいないことだと常々感じていました。
これまでのキャリアで培ってきたテクノロジーとビジネスの幅広い知見を元に、さまざまな領域のプロフェッショナル間のコラボレーションをリードし、最終的なプロジェクトの価値をより高みに引き上げ、クライアントのビジネスへインパクトを生み出すことができる。
それがSolution Ownerの存在価値だと感じています。
―Slalomでのプロジェクトの中で、印象的な支援事例についてお聞かせください
コングロマリット企業におけるカスタマーデータプラットフォーム(CDP)構築を支援しました。事業会社ごとにデータが分散し、全体として意思決定や顧客獲得に十分活かしきれていない状態でした。
CDPは「あらゆるデータを入れられる箱」として構築すると、結局のところ意思決定に使える形でデータを見られない、という課題に行き着きます。そこで本プロジェクトでは、まず各事業の目的や判断の背景・課題を可視化し、「どのデータが、どの意思決定に、どう使われるべきか」という観点で設計を行いました。
顧客行動データを集約・統合し、行動パターンによってマーケティング施策を出し分け、その効果分析をもとに次の改善アクションへつなげる。この一連のサイクルを回せるところまで落とし込んで初めて、CDP構築の意味があると考えています。
本プロジェクトでは、約6カ月という短期間で、グランドデザインからビルド・効果検証までを実施しました。その結果、施策ごとの効果をデータで振り返りながら意思決定できるようになり、判断のスピードと質が向上。初期検証を起点に、クライアント自身での活用範囲の拡大検討、そして次の投資判断へ繋げることができました。
―プロジェクトを推進する上で、大切にしていることを教えてください
プロジェクトを伴走するパートナーとして信頼を得ることを大切にしています。
まずは話を傾聴し、これまでどうやってきたのか、何を大切にしてきたのかを深く理解するところから始めます。
「この人たちはちゃんと分かろうとしている」と感じてもらうことで、深い議論ができるようになり、良いアイデアが生まれると感じています。
また、地方のお客様の場合は一定期間その地域に住み込みながらプロジェクトを進めます。短期間で成果を出すだけでなく、現場で働く方々の日々の判断や空気感を理解しないと、本質的な前進は難しいと感じたからです。
同じオフィスで過ごし、業務の合間の何気ない会話や会議の進め方を見る中で、「どこで判断が止まりやすいのか」「何に不安を感じているのか」が少しずつ見えてきました。そこを踏まえて、役割や判断のポイントを整理し、会議の位置づけを見直すところから一緒に取り組むことで、プロジェクトが前進していく実感を得ることができました。
―他社と比べて、Slalomならではのプロジェクトの進め方について教えてください
まず前提として、Slalomは最終的にクライアント自身で自走いただける状態をゴールに置いています。
自走とは、開発の内製化であったり、テクノロジーを活用しながらビジネスを形にしていくことであったり、文脈によって定義は変わるのですが、要するに、Slalomがいなくてもやりたいことを実現し続けられる状態になるということです。
そのゴール達成のためには、当然クライアント自身に、ビジネスのこともプロダクトのことも、さらにはプロジェクトの進め方も深く理解いただく必要があります。
だから、Slalomのプロジェクトは、最初から答えを提示するのではなく、いま何に困っているのか、どこで判断が止まっているのかを、
一緒に言葉にするところから始めます。
そのうえで、少しだけ問いを足す。「もしこうだったらどう思いますか」「ここはどちらを優先しますか」といった、小さな問いです。
ワークショップや日々の会話を通じて、クライアント自身で言語化できていなかった課題や違和感を整理していく。
すると、「それが言いたかった」という瞬間が生まれ、主体性が立ち上がっていく。
逆に言えば、Slalomに丸投げをしたら果実が返ってくるというスタイルではなく、クライアント自身にも畑を耕し、種をまき、水やりをしてもらう。そして実った果実を一緒に収穫するスタイルのため、クライアントはけっこう大変だとも思います。
でも結果として、Slalomとのプロジェクト終了後も、クライアント自身で力強く前に進めていけるようになる。
そこがSlalomのユニークな点だと考えています。
― 最後に、今後のビジョンや取り組んでいきたいことについて教えてください
Solution Ownerとして、日本企業が変化に適応し、強くなっていくプロセスに伴走したいと思っています。
これまでは、ビジネスのアイデアがあっても、それを実装するまでには、かかる時間やコストなど多くのハードルがあり、
慎重にならざるを得ない場面が多くありました。
今は、AIを含むテクノロジーの進化によって、より速く、より低コストでビジネスを動かせる「チャンスの時代」が到来しています。
例えば、クライアントとの新規ビジネスのディスカッションの傍らにAIの思考を常駐させ、その場ですぐにプロダクトイメージを形にしていく──そんな取り組みを始めています。
言葉だけでは伝えきれない思考を即時に可視化することで、深い相互理解が生まれ、アイデアはこれまでにない速度で進化していきます。